_まず、出身地とか生年月日とかを教えていただけますか?
N(Noriko): 生まれたのは東京なんですけど、生年月日は....
不詳ということで(笑)。
_では、"ポイズン・ガール・フレンド"というユニット名
の由来は?
N: モーマスの"ポイズン・ボーイ・フレンド"というア
ルバムのタイトルからきています。最初はNorikoという名前でソ
ロとしてデビューする話があったんですが、それはあんまりなので、
Noriko&ザ・ポイズン・ボーイ・フレンドとしてやろうかなと思ったの
ですが、それも何かカッコワルイかなと思って。で、いっそのこと私が
みんなのポイズン・ガール・フレンドになっちゃえっていうことになっ
たんです。
_モーマスの音楽にインスパイアされて音楽を始めたのですか?
N: きっかけはパンクだったんです。実は"女ジョン・ライド
ン"になりたいな、みたいな感じで始めたんです。(笑)。
_元々ヴォーカルですか?
N: ええ。ただ、その遊びでやっていた高校時代のバンドが解散した
頃、私はスミスが好きだったんですけど、その頃に一人でイギリスに遊
びにいってビリー・ブラックのライヴを観てからは、ギター一本でも
ロックができるんだなって思って、家にあるピアノとギターとリズム・
ボックスで一人で曲を作ってテープに録音したり、たまにライヴをやっ
たりするようになりました。
_現在のようなウイスパー・ヴォイスで歌うようになったのもその頃か
らですか?
N: そうです。ただ、始めた頃は歌詞は日本語で、今よりもパンキッ
シュでドギツイ感じだったんです。で、それをそのまま自声で歌うとキ
ツイ感じになるかな、と思って。パッと聞くとお洒落なんだけど、実は
凄いことを歌ってるっていうのが好きだったんですね。
_歌い方にはジェーン・バーキン辺りの影響もあるのでしょうか?
N: そういうわけではないんですが、母がシャンソンをやってた関係
で、子供の頃からフランスの音楽はよく聴いていました。それから3
歳〜7歳までリオデジャネイロで過ごしたので、サンバとか、ボサノバ
とか、ラテンにも馴染んでました。幼児体験がラテンしてたからこうい
ういい加減な人間に育ってしまったのかもしれませんね(笑)。
_シンガーとして影響を受けた人は?
N: 女性だとブリジット・フォンテーヌ。男性だとジョン・ライドン
とジョー・ジャクソン(笑)。
_アクの強い人が好きなんですね。
N: 昔からアヴァンギャルドなものには魅かれますね。今でもライヴ
では1〜2曲、即興的なこともやってますし....。
_歌詞を作る時に何かモチーフとなるものはありますか?
N: やはり実体験がもとになっている場合が多いです。リアリティー
のある歌詞が好きなんです。歌詞に於いて最も影響を受けたのは、やは
りスミスだと思いますね。私は回りくどい歌詞とか詩的な歌詞とかって
ダメなんです。ラヴ・ソングでも本当に直接的なものでないとダメ。
_性格も激烈なんですか?(笑)
N: もの凄い激しい(笑)。極端な性格なんです。ただ、今回のアル
バムの歌詞に関しては、それほどドギツイ歌詞とかはないです。
_人間が丸くなった?
N: いえ、丸くはならないですけど(笑)。
_今回のアルバムはモーマスとのコラボレーションということですが、
この企画が実現したいきさつを説明していただけますか?
N: まず、ある雑誌のインタビューで、モーマスが気に入っている
アーテイストとしてポイズン・ガール・フレンドの名前を挙げてくれた
んです。で、今度はその雑誌から私が取材を受けることになってモーマ
スについてコメントしたら、その記事を彼の日本人の友達が訳して伝え
たそうなんですね。そうしたらモーマス自身からFAXが送られて
きて、共演しようという話になったんです。
_彼との仕事はうまくいきましたか?
N: 最初は彼が私の作品をどこまでプロデュースしていいものかとい
うことで悩んでしまったようなんですが、私も中途半端なことは嫌いな
ので、もう全面的に彼に任せて、私はシンガーに徹しようということに
なったんです。ただ、彼はこれまで自分一人で何年間も音楽を作り続け
てきて、あまり他の人と一緒にやったことがないので、どうしても自分
の殻の中で全てを完結させようとするところがあるんです。最初の頃は
それで衝突しそうになったりもしたんですが、結果的にはうまくコラボ
レートできたと思います。
_モーマスの人脈でルイ・フィリップやサイモン・ターナーといった人
達も参加してますね。
N: そうですね。サイモンは本当に面白い人で、ワインのボトルを片
手にスタジオにやってきて、いろんな楽器を即興で弾きなが
ら"この曲もやらせて!この曲もやらせて!"っていう感じ
で2日間スタジオで遊びまくって帰っていきました(笑)。
_エンドルフィンから出た1stアルバムの中には、ハウスっぽい
アプローチも見られましたが、今回のアルバムはそうでもないですよ
ね。今回は自分自身の音楽的ルーツに立ち戻ってみようみたいなことも
意識されたわけですか?
N: そうですね。実際に、今回のアルバムには4〜5年前に作った曲
とかも入っているんですが、私が最もモーマスの音楽に魅かれていた頃
に作った曲を彼が選んでいて、面白いなと思いました。原点に戻ったと
いう感じも確かにありましたが、逆にそれほど原点から変わっていな
かったということにも気づきましたね。それと、今回のアルバムには
モーマスが10年前に作った曲とかも入っているんです。彼も私も自分
の作った曲に対して執着が深いみたいですね。
_次はどんな作品を作りたいですか?
N: 今度は一人で作ってみたいと思っています。
_では、最後に将来の夢は?
N: 夢ってみないんです。子供の頃から。現実にしか興味がないとい
うか、叶うことしか夢みないというか、思ったら必ず実現しちゃう
し.....。明日死んでもいいと思って音楽を作っています。
(Text from Remix Magazine,July,1993 )